フェミニスト関連のTEDトークがTikTokで流れてきて、内容が良かったので記録しておきたいと思い立ち、書き起こししました。
※YouTubeの自動翻訳やChatGPTを参考にしています。
▼用語解説
ミサンドリー:男性嫌悪、男性蔑視
インセル:非自発的な独身男性
フェムセル:非自発的な独身女性
▼忙しい人向け
@chloegracelaws Often when talking about male VAWG, feminists are rebutted and called misandrists, and myths are perpetrated. This is a distrsction tactic, and here’s why. 📍My #TEDx Talk, now live on YouTube. #feministiktok #womensissues #politics ♬ original sound - Chloe grace laws
▼動画で全編見たい方はこちら(日本語に自動翻訳可能)
Mysandry Myths - ミサンドリーという作り話
▼概要
このTEDxトークでは、クロエ・ローズさんが「男性嫌悪(ミサンドリー)」という言葉とその新たな注目度について考察し、男性嫌悪と女性嫌悪(ミソジニー)を同列に扱うことがいかに誤解を招き、危険な「何でも言い返す論法(ホワットアバウティズム)」であるかを解き明かしています。
「すべての証拠を見てみると、女性が男性を憎む感情は、男性が女性を憎む感情とは比較にならないというのが真実です。ミサンドリーはミソジニーと同じではありません。なぜなら、抑圧されている側が抑圧している側を抑圧することはできないからです。女性は社会的地位や権力がないため、ミサンドリーが脅威となることはありません。最悪の場合、ミサンドリーは男性の感情を傷つける程度です。一方、ミソジニーは日々女性を命の危険にさらしています。」
クロエ・ロウズはジャーナリスト、詩人、ジェンダー平等の推進活動家であり、「GLAMOUR」「Grazia」「Marie-Claire」「Cosmopolitan」「Dazed」などのメディアで、女性嫌悪や男性による女性や少女への暴力についての記事を執筆してきました。彼女の刺激的な記事やエッセイは、現代のフェミニスト演説における重要な声としての評価を確立しています。彼女は個人的な経験と社会的な論評を組み合わせる能力に優れており、その作品は共感を呼び起こすと同時に深い影響力を持っています。
▼全編書き起こし
自己紹介
クロエと申します。ジャーナリスト、男女平等運動家、詩人、そしてフェミニストです。私は人生の半分くらいをフェミニストとして過ごしてきました。今、私は29歳です。私は育った周りの男性や女性から刺激を受け、彼らの信念が私を形成しました。私にとってフェミニズムとは、男女平等であり、女性や疎外された性別の人々が平等を実現するための闘いです。これは、植民地勢力によって導入された伝統的な性別役割に反対するものであり、社会の全ての構成員に害を及ぼします。はい、権力を持つ男性もそうです。私たちが住む世界は、女性蔑視に声高に反対し、女性や女児に対する暴力と戦おうとする人々を必要としている世界だと私は信じています。それは伝染病だからです。私はこれまでのキャリアを通じて、偶然にもそのような人々の一人になりました。それは非常に必要だと感じられるため、選択であると感じられないことがよくあります。
英国では毎日毎分、警察に家庭内暴力に関する電話がかかってきて、被害者の89%が男性から虐待を受けている女性だというのに、どうして私はただ傍観して何もできないのでしょうか。この夏、その必要性が確認されました。
カイル・クリフォードがキャロル・ハンナとルイーズ・ハントの殺人罪で起訴されたのニュースを見ました。メディアは彼を、被害者のキャロルよりもキャロルの夫に焦点をあてた。「いい人」と呼んでいた。彼らは、問題は男性の暴力ではなくクロスボウ(武器)にあると主張した。
加害者とだけでなく制度とも戦っているジゼル・ぺニコットの事件を追いながら、私は気分が悪くなった。彼女は夫によって日常的に薬物を投与され意識を失い、50人以上の男たちにレイプされ、その中には彼女の知り合いもいた。
元パートナーによって、子供の目の前で放火され焼死されたレベッカ・チェプテゲイさんの殺人事件について読んだ時、私は泣きました。彼女はオリンピックから戻ったばかりです。
私はこれら3つのケースなどを、「GLAMOUR」「Marie Claire」「Stylist」「Grazia」「Women's Health」などの媒体で取り上げてきました。私はイギリスのメディアでフェミニストの代弁者となり、「Women's Hour」「Radio 1」「Five Live」などに出演しています。私は女性蔑視を啓発するFGRLS CLUBというプラットフォームも運営しています。
本題
さて、この仕事をしていると何度も同じレッテル張りをされます。「ミサンドリスト」。男性を嫌っている、とよく言われます。私の女性と社会から疎外されたジェンダーへの愛、そして私たちの安全への情熱が、男性を嫌っていることを意味していると言われます。これは絶対に真実ではありません。私のフェミニズムは、女性蔑視な社会によって害を受けている少年や男性のためでもあります。この現実を受け入れるかどうかに関係なく。
先ほども言いましたが、この仕事をすることで、私はある程度の知名度を築いてきました。そして悲しいことに、当然のことですが、このことが私に向けられた大量の女性蔑視的な虐待をもたらしました。私の記事がバズると、少なくとも週に1件の殺害予告がDMに送られ、何千件もの罵倒メッセージが届きます。私の外見は貶され、私の知性は疑われ、私の安全は脅かされました。だから、私はミソジニーについてはよく知っています。
そしてミサンドリーですが、あまり知られていない言葉なので、自分には関係ない人もいるかもしれませんが、実は関係しています。ミサンドリーという言葉は、女性蔑視や家父長制について議論する女性を黙らせたい人々から、頼りになる反撃として使用されています。彼らはそれをUNOのリバースカードとして使用し、焦点を私たちに向け、実際に問題があるのはフェミニストであるとほのめかします。
そこで、私が受け取ったメッセージの一部を共有したいと思いました。紹介できるように修正済みのものです。
「ミソジニー、ミソジニー、ミソジニー。お前みたいな哀れな女が言える唯一の言葉!一部の女は金目的だけのために男とデートや結婚をする。これは合法だが、正しいということになるのか?お前の記事はミサンドリーと怒りに包まれているとしか思えない。お前は一度浴びた注目をもらえてないから嫉妬してるだけだ。不幸なことにもしこれが合法で合意的なら、お前にも関係ないし、大きなお世話だ。」
女性蔑視は実際にはない、とよく言われます。現代では女性があらゆる力を持っていると言われます。彼らは私がミサンドリストだと言い、それは女性よりも男性の方が殺されるようになるので危険だ、と言います。彼らは、殺人を行っているのが男性であることは言及しません。彼らは女性蔑視はないと主張すると同時に、女性蔑視の暴力に参加しているという皮肉に気づいていません。
当てようか、お前は賞味期限過ぎてるから動揺してるんだろ
リベラルな白人女性以上にアホな人はこの世にいない
自己中心的になるなよ、お前は特別じゃないってことを教えといてやるよ
太った女性が移民のことが好きなのは、移民が入ってくれば、自身が性的なマーケットプレイスにおいて優位に立てるようになると本能的に分かるからだ。位の低い独身男性がいればいるほど、ブタ女の勝率が高まるからな
美容系の動画を作れば?この内容はちょっと成人向けだよ
チェダーゴージ(峡谷)のように空っぽだな…
なんて親しみやすくてバカなまんさんなんだ。成長しろこのおこちゃまが
また、女性蔑視と闘うことが、学校での男性の学力向上と精神的健康につながるということも、彼らには理解されていません。
私のキャリアを通じて、このようなメッセージを受け取ったおかげで、私は次のことを言う資格があると感じています。
ミサンドリー(男性蔑視)は脅威ではありません。最悪の場合、男性の感情を傷つける程度です。一方、女性蔑視は日々女性を命の危険にさらしています。一つは構造で、もう片方はリアクションです。現在のミサンドリーは女性蔑視に対するリアクションでしかありません。
たとえば韓国の4B運動を見てみましょう。この制度は約5年前に誕生し、女性が異性愛による出産、結婚、交際、男性との性的関係を拒否するという4つの原則に基づいています。2016年、韓国では親密なパートナーからの暴力を受けた経験ある人の割合が41.5%と記録されました。この統計により、4B運動の背後にある理由が明らかになりました。それは女性蔑視に対するリアクションです。しかし、多くの人はそれを「ミサンドリスト」―男性への憎悪と呼んでいます。
これは真実ではありません。インセルというと男性を思い浮かべますよね?そうですね、定義上これは非自発的な独身者という意味です。フェムセルといって非自発的な独身女性もいますが、その存在は全く異なります。インセルは世界的な脅威となっており、多くの人がそれを過激主義やテロリズムと定義しています。
2014年、エリオット・ロジャーはカリフォルニアで、自分のことを拒絶した少女たちを責めて6人を刺殺しました。それ以来、このイデオロギーのもとで数多くのインセル攻撃が行われてきました。2021年にプリマスで、ジェイク・デイヴィソンは母親と3歳の女の子を含む5人を殺害しました。具体的な統計はありませんが、インセルのイデオロギーのもとで約100人が殺害されたと考えられており、犠牲者のほとんどが女性と少女です。
対照的に、フェムセルに関連すると考えられる殺害はゼロ件です。彼女らは主に非暴力的であり、インセルのような軍事的な方法で活動していません。これらがインセルとは異なる点です。ミサンドリーはミソジニーとは違います。私たちはフェムセルをミサンドリーの頂点だと考えています。ですが、実際は男性との関係でトラウマを経験した後にフェムセルになった人が多く、身を引いた方が安全と判断したのです。
そのため、「ミサンドリー」は現代文化で人気の流行語となり、学会では正当性を与えられ、インセルのチャットルームやオンラインの極右サークルに少しずつ浸透していきました。しかし、それにもかかわらず、ミサンドリーとは何か、といった点についての探求はほとんどありません。
世間でも、辞書の定義でも、ミサンドリーは「ミソジニーの逆」と言われます。たとえば「ミサンドリーの拡散:大衆文化における男性への軽蔑の教え」という本があります。著者のポール・ネイサンソンとキャサリン・ヤングは、「ミサンドリーはミソジニーと異なり、道徳的にも法的にも社会で受け入れられる」と述べています。それは私には笑える話です。女性蔑視がどこにでも存在する社会で、どうして女性蔑視が容認できないと言えるのでしょうか。女性蔑視は私たちの家にも、テレビにも、ニュースにも、警察にも、SNSにもあります。対照的に、ミサンドリーは大衆文化で現実世界でもほとんど目に見えません。著者らの主張が本当かどうか見てみましょう。
次の質問に答えていただけますか?
「少年が成人女性と結婚することが法的に認められている国の名前を挙げられますか?」
「男性の3人に1人が女性から性的暴行を受けている国を挙げられますか?」
「大多数の男性が、男性ではなく女性によって殺害される国を挙げられますか?」
「男性が好きな服を着ることのできない国を挙げられますか?」
「男性は女性の付き添いなしでは家から出られない国を挙げられますか?」
「男性がしていい仕事としてはならない仕事を、女性が決定する国を挙げられますか?」
これらの全ての質問に対する答えは「いいえ」です。しかし、これらの質問を逆転させて女性蔑視に目を向けると、答えは悲惨で「はい」になります。
英国では近年、平均して3日ごとに女性が男性によって殺害されています。
男性の女性に対する暴力は、世界的に女性の早期死亡の主な原因となっています。
英国では今年だけで、死亡したことにより男性が告発された女性の数は50人を超えています。これは起訴された件数だけで、実際の数は大幅に上回るでしょう。2022年から2023年にかけて、イングランド北東部では家庭内暴力被害者の72%が女性でした。イングランドとウェールズの殺人容疑者の90%は男性です。
したがって、全ての証拠を見ると真実は、男性が女性を嫌うように、女性は男性を嫌っていないということです。
ミサンドリーは最悪、一部の男性の感情を傷つける程度のため、脅威ではありません。一方、ミソジニーは日々人を殺します。
抑圧されるものは、抑圧者を抑圧することはできません。
私はあなたを落ち込ませるためにこの話をしているわけではありません。これらの役に立たない話術や、本題から目をそらさせるための偽情報に対して反撃できるようになって、今日は帰ってもらいたいと思います。なぜならミサンドリーは、非常に現実的な女性蔑視について話す女性達の気をそらす方法として頻繁に取り上げられるからです。それは「何でも言い返す論法(ホワットアバウティズム)」であり、危険な兆候でしょう。ミサンドリーとミソジニーを同一視してはいけません。それは、女性蔑視の暴力のもとで虐待され、傷つけられ、殺害された全ての人々を無効にし、軽視するものです。
ミサンドリーは作り話です。それについてヒステリックに煽ろうとするのは、偽情報の担い手です。
ありがとうございました。
終
別の話になりますが、TikTokにおいても女性がフェミニスト関連の動画を投稿すると、男性による殺害予告やレイプの脅迫がDMに届くと報告されています。実際にkillやrapeという禁止用語が使われているにも関わらず、運営に報告すると「メッセージに問題は見つかりませんでした」と返答されるのです。未だに女性蔑視による言動は野放しにされ、虐げられているのが現実です。
最近でも、札幌で40代の男性がガソリンのような液体をガールズバーに撒いたニュースが話題になりました。真偽は不明ですが、20代の女性店員と交際トラブルがあったと報道されています。
たとえば弱者男性も、アフリカの飢餓している子供も、解決すべき問題ではあります。しかし、どちらが優先されるべきかなんて議論は、危険な「何でも言い返す論法(ホワットアバウティズム)」であると説明してきました。
なにより「女性蔑視と闘うことは、男性の学力向上と精神的健康につながる」という点では、女性蔑視をしている男性がこの世から減れば減るほど、男性の精神的健康も向上することが明らかです。フェミニズムは「女性蔑視な社会によって害を受けている少年や男性」をも救済するものであると理解している男性は少なく感じます。
「フェミニズム」と聞くと反射的に一部の過激フェミニストについて取り上げて批判する、そのような行為もWhataboutismの一種だと考えられます。これは世界のみならず日本でも起こっている現象です。まともなフェミニズムの議論は取り上げない、茶化す、目を背ける、興味を示さない、無視する、怒りを示す、「弱者男性はどうなんだ」と話を逸らす。残念ながらそのような男性が日本でも多い印象があります。
弱者男性は男性の一部といえますが、フェミニズムで掲げられる問題は世界中の女性、人類の半分が抱える問題です。女性は弱者強者関係なく、男性から女性蔑視の暴言を受けています。パートナーから虐待されています。意見を言うと、殺害予告やレイプ予告など、様々な形で脅迫されます。女性蔑視のイデオロギーのもと、殺されています。しかも、「女性に拒否された」といった理不尽な理由で女性を殺害するケースが多くあります。女性たちは理不尽な理由で今もインターネットでは暴言を受け続け、正当なフェミニズムを主張すると「男性嫌悪だ」と履き違えた批判をされ、運が悪いと殺されるのです。
はてなブックマークにおいて、4B運動を「過激な男性嫌悪」と指摘する人がいましたが、果たして「過激」でしょうか。4B運動は、男性に暴言を放っているでしょうか。男性を虐待しているでしょうか。男性を脅迫しているでしょうか。男性を殺しているでしょうか。
男性は、男性による女性嫌悪の過激さには激しく鈍感で、トラウマを受けた女性たちによる男性嫌悪には激しく敏感で嫌悪感を表明します。女性が男性と関わりを持たず身を守っているだけで、過激と判断されます。それが日本の現状です。
日本におけるフェミニズムは遅れていると感じます。女性蔑視する男性は未だ悪い報いを受けることなく、野放しにされています。フェミニズムへの無理解、ミサンドリーの誤解を見かけるたびに、発信し続ける必要があると痛感させられます。隣国の韓国からの影響、そして欧米からの影響が徐々に日本にも広がっていくことを願っています。