TikTokで見る独身中高年女性のロールモデル

先日、Xで気になるトレンドが上がってきた。

 

「独身中高年女性」

 

その中で、独身中高年女性のロールモデルがいないことが話題に挙げられていた。

そこで私は思った。TikTokで、独身中高年女性の心強いコメントをよく見るなあ、と。

 

誰しも将来に漠然とした不安を感じたことはあるだろう。

今は、女性が男性に頼らずとも一人で生きていくことができるようになった転換期の真っただ中である。そのため、独身中高年女性のロールモデルが少ないのだ。

男性が独身を選んでも批判されることは少ないが、女性が独身を自発的に選ぶと、男性から誹謗中傷を受ける。

これはSingle shamingの風潮があるからだ。Single shamingとは、独身でいる人に恥ずかしい思いをさせること、不名誉な気持ちにさせること、辱めることだ。例を挙げると、女性として(男性として)失格、賞味期限切れ、不幸、不完全、生きてる価値ない、需要ないなど。

女性を傷つけたくてたまらない男性が、日本にも海外にも存在する。彼らは女性に対して異常なほどの執着を抱いている。彼らにとって、独身女性は格好の的だ。独身女性に男性のハードルを下げるよう迫り、急いで結婚しないと賞味期限切れになると不安にさせ、男性との交際を急かす。

そんな彼らは、独身でいると決めた女性や、交際のハードルを下げない女性のことが許せない。そんな女性が増えれば増えるほど彼らは困る。家庭内労働と性処理を担ってくれるメイド候補が減るからだ。

その異常な執着によって事件が今年、発生した。

子供のいない未婚の37歳女性が、楽しそうに旅をして人生を謳歌する動画をインスタグラムに投稿しただけで炎上した。*1

@burbnbougie3.0 It's AMAZING (and not in a good way) how single women without kids get so much vitriol #childfree #childfreemovement #childfreebychoice #tradwife ♬ original sound - BurbNBougie3.0

これら幸せな旅動画のコメントの一部だ。

「子なし、未婚、37歳。責任のない大きな子供。何も成し遂げたことのない哀れな牛」

「哀れ。彼女は何かがおかしい」

「また幸せなフリしてる女性だ」

「40代の時にもう一度動画を投稿しな、お前需要ないよ」

「お前は一人で死ぬ。誰も悲しまない」

ほとんどのコメントは男性によるものだと推測できた。批判してきた人たちの内訳としては、伝統的な家族の形を重んじる保守寄りな男性、女性嫌悪する男性、結婚生活や育児生活で余裕のない男女などが可能性として考えられる。

このような投稿が何故批判されるかというと、理由はいくつか挙げられる。

  1. 自由で幸せそうで、単純に妬ましいから
  2. 未婚・子供なし自慢と捉えられてしまうから
  3. 「未婚、子供なしのロールモデル」とし捉えられ、感化する女性が増えるのを阻止したいから
  4. 女性は子供を育てて夫を支える、という役目を持って生きる以外の選択肢が許されないから、女性は自由であるべきでないから

これらの人々は、独身女性は幸せに生きてはならない、惨めでいなければならないと思っている。独身女性には罪があり、罰したい。自由を謳歌することはありえない。

しかし、もし性別が逆だったらこんなに炎上しただろうか。37歳独身男性。幸せな旅、キャンプ、素敵な部屋紹介、ペットとの生活。そのようなコンテンツは結構見かけるが、独身女性ほど炎上した独身男性は見たことがない。

独身中高年女性のロールモデルが少ない理由が分かっただろうか。

 

女性が表立って人生を自由に楽しむと、無数の誹謗中傷を食らうからだ!

 

誹謗中傷するような男性がこの世からいなくなれば、独身中高年女性のロールモデルも増えることだろう。

 

表立って独身中高年女性ライフを発信できない世の中だが、独身中高年女性のコメントをTikTokでよく見かけるようになった。

なぜかというと、TikTokでは、男性からの被害(DV、付きまといなど)を撮影して共有したり、女性の被害について話し合うプラットフォームとしても役に立っており、その流れで一種の女性同士のコミュニティが出来上がっているからだ。The bear(男性より熊の方がマシ)という話が話題になった時も、男性の無理解や敵意を痛感し、女性間で団結力が高まった。

コメントで見かけるのはこういったものだ。

35歳、子あり、離婚済み。男性という名の大きな赤ちゃんがいなくなって、人生が楽になりました!独身の方がマシ!

40歳の独身ですが、ペットと幸せに暮らしてます🎵

同世代の人たちには「仲間がいるよ、一人じゃないよ」と伝えており、若い世代には「無理して微妙な人と結婚する必要ないよ。将来独身でも心配ないよ。幸せに暮らせるよ。私を参考にしてね」とポジティブなメッセージを発信している。

 

バッシングの的であるからか独身中高年女性の発信者は少ないが、独身女性の味方であることを発信する既婚者は多い。女性嫌悪する男性を批判する男性や同性愛者もいる。

他にも、25歳の時に不妊手術をした女性の発信者がいる。自身が子供を育てるのに向いてない性格のため、子供を産むリスクがなくなった点についてポジティブな発信をしているが、男性からのバッシングが止まない。不妊手術が女性にとって手段の一つであることを紹介すると、男性は激怒するのだ。参考にする女性が増えて、一人でも幸せな女性が増えると、男性にとっては不都合だからだ。女性の幸せは、男性にとって不都合だ。

女性に子宮摘出を強制したがる日本人男性が最近ニュースで炎上したが、それもまた女性を急かして子供を産ませたい、でなければ強制的に女性を罰したいという一心で生まれたアイデアだ。男性には不妊手術を強制しないところが女性嫌悪ポイントだ。

 

以下の動画は、男性と住むことを特に前提としない、可愛いインテリアで施された女性の部屋を紹介する動画だ。これも、独身女性のロールモデルの一種だなと感じたため紹介する。

@ceciliaregina275 #women #homedecor #men #dating #marriage #relationship #engagement ♬ original sound - ceciliaregina275

「女性は男性のために生きていない」

"部屋を女性らしくデコレーションすると、「男性が住んでくれないかも…と心配しない?」と聞かれるけど、そんなの考えたこともないわ!"(音源)

今、女性らしい部屋を自慢したいクリエイターたちがこの音源をみな使っている。

男性は、女性を人間として認識しない。どんなことも「男性がどう思うか」だ。道端で男性に「ニコニコしろよ」と言われたり、「彼氏がそのファッションが好きかどうか聞くべきだ」と言われたり、「夫が子供ほしいと言ったらどうするんだ」と聞かれたり。女性は人間扱いされないからだ。女性が何がほしいかは、どうでもいい。大事なのは「未来の旦那がどう思うか」だ。

それは子供の時点から始まっている。「木登りすると体に傷がついてお嫁さんに行けなくなるよ」と。

でも男性は女性をツールとしては認識できる。女性が男性に何を与えられるかしか気に留めない。女性をどう利用できるかを考える。

女性が何を求めているかは重要視されない。私たちはもうそのように生きる必要はない。

「男性がどう思うか」という論点にすり替えられがちなのは、女性のヘアスタイル、メイク、ファッションだ。

男モテ用メイクをする女性も中にはいるが、多くの女性は男性のためにメイクをしていない。時には世間体だったり、時には自分のために好きなファッションを着て、好きな髪型やメイクをしている。

自分ウケというやつだ。

その話をすると、「でも男性とデートする時はメイク代分奢れって言うじゃん!」と怒る男性がいるが、男性に向けて準備するメイク&ヘアメイク&洋服と、自分のために準備するメイク&ヘアメイク&洋服は全くの別ジャンルである。婚活する女性の多くは少しでも万人受けに、尖らず、印象を良くしようと、一般的な”男性ウケ”に合わせたナチュラルメイクをして、女性らしいコーデを着て挑んでいるのだ。そのカスタマイズの匙加減も、日常的にメイクのスキルを向上させていないとできないスゴ技である。

(そもそも奢るのは「今後仲良くなれるかは関係なく、男性と関われば危害を加えられる世の中であるにも関わらず、あなたという女性とお話する貴重な機会を与えていただいて有難うございます代」みたいなものなので、女性に奢る気持ちがない人は女性に対する尊敬や感謝の念がないので、婚活市場から出禁になるべきだ、というのが世界でスタンダードな意見だ。)

結婚相談所に入れば、スタッフからもメイクと洋服の指示を受ける。指示は結婚相談所によるが、例えば女性の洋服は黒はダメ、パステルカラーが良し、スカートが良しとされる。男性も男性で、特に婚活をしていない女性が自分ウケのメイクをしていると、「こういう女は嫌い。男性を分かってない。ナチュラルなメイクをする女が好きだ」と言い張る。女性が男性のためにメイクしていると勘違いしている表れだ。「男性ウケなんて、そんなの頼んでない」と怒るならば、「男性ウケ抜きで、自分が好きなメイクとファッションで来てください!」と言えば、相手も喜ぶかもしれない。

 

とまあ話は逸れたが、確実に独身中高年女性の発言は増えている。女性に「焦って無理して結婚しなくていい。今は女性一人でも生きていける時代だから」と発信している。

そのような発信を見ると、女性嫌悪する男性は「独身のまま誰にも看取られずにペットと暮らして死ね!」と懲りずに罵倒しにくるのだが、介護関係の職員によって、家族にも友人にも看取られない傾向が高いのは男性である、と論破されるとコメントを消して逃亡する。また、ペットと暮らすことは男性の意に反して女性にとって理想の生活であるため、罵倒どころか素敵なメッセージとして解釈をされ、「ありがとう!これからもペットと幸せに暮らすね!」と返信を食らい、女性嫌悪者は困惑していると思われる。

女性も一人で暮らせる時代になったならば、女性が一人で暮らすことや自由を謳歌することを許さない男性、女性の幸せにイライラする男性、女性を人間扱いしない男性、女性は男性のために生きていると思い込んでいる男性ら、まとめて淘汰するのが道理だ。彼らによって女性の平和が脅かされているのだから。

独身中高年男性と違って、独身中高年女性はまだまだ平和に暮らせない。

男性からの攻撃が止むまでは、誰もが過ごす資格のある平和な日常は、彼女らにやってこないのだ。